透明カプチーノ - ペトリコール
コンビニの前で 立ち止まったまま
買う理由もない 缶コーヒー
君に似た背中を
見間違えた午後八時
言わなかった言葉だけ
ちゃんと覚えてる
言えたはずの台詞ほど
夜に強くなるんだ
幸せになってほしい
それが嘘じゃないから
余計に 自分の場所が
分からなくなる
君は 雨の残り香だ
止んだはずなのに 消えなくて
乾いたフリした心に
何度も 染みてくる
触れられないなら この距離で
好きでいさせてよ
報われなくても 嫌われても
想った時間は 本物だろ
洗濯物を取り込む
そんな話を聞くだけで
君の生活に
入れない現実を知る
「またね」って言葉が
約束じゃないこと
期待するたび
少しずつ 馬鹿になる
都合のいい優しさも
突き放す冷たさも
どっちも君で
どっちも 好きだった
君は 読みかけの小説だ
結末だけが 分からない
ページを閉じる勇気も
最後まで読む覚悟もない
代わりなんて いらないよ
一番じゃなくていい
君が笑う世界の端で
ちゃんと 胸が痛いから
もしも 出会う順番が
ほんの少し違ってたら
そんな仮定が
一番卑怯だって知ってる
でも
それでも
君は 雨の残り香みたいだ
晴れた空ほど 思い出す
忘れたフリが上手くなるほど
ちゃんと 苦しくなる
この想いが 間違いでも
無駄だったとしても
君を好きだった僕だけは
嘘じゃないって 信じたい
傘を閉じたまま
少し濡れた肩
それくらいが
今の僕には ちょうどいい